歯周病には、さまざまなキーワードが存在します。これを知ることによって、歯周病予防や早期治療に役立たることができ、歯の健康を維持することに寄与するでしょう。そこで、歯周病に関する知識をいくつか紹介します。
■「歯肉炎」と「歯周炎」の違い
歯周病は、歯周病菌によって炎症が引き起こされる病気です。歯周病は大きく分けて「歯肉炎」と「歯周炎」があります。どちらも歯周病の病態を表していますが、異なる状態のことを指しています。
「歯肉炎」は、炎症が歯茎に留まっている状態です。一方で「歯周炎」は、歯を支えている骨まで炎症が及び、骨を溶かしてしまっている状態のことをいいます。歯周病では最初、歯肉炎が起こりますが、治療せずに放置していると次第に歯周炎に発展します。
歯周炎の治療では、溶かされた骨が元の状態に戻ることはほとんどありません。歯の健康にとって大きなマイナスポイントになりますので、なるべく歯肉炎の段階で治療を開始することが望ましいです。
■「歯垢」と「歯石」の違い
歯周病などの口腔トラブルの原因としてよく取り上げられるのが「歯垢」と「歯石」です。どちらも歯にとって良くない存在であることは違いありませんが、その性質は大きく異なります。
「歯垢」は「プラーク」とも呼ばれる、歯磨きが不十分なことにより食べかすを基にして繁殖した「細菌の塊」です。歯垢1mgには、なんと10億以上の細菌が詰まっているとされています。歯垢は、きちんと歯磨きをしていれば取り除くことができます。
「歯石」は、歯に付着している歯垢が唾液などに含まれているカルシウムなどとくっついて、固くなってしまったものをいいます。通常のブラッシングでは取り除けない上に、歯に歯垢が付着してからわずか2日で歯石化してしまうという厄介さがあります。歯石は表面がざらついており、ここに歯垢が付着しやすく、それが歯石化するという悪循環を生み出します。
■「歯周病」と「虫歯」の違い
「歯周病」も「虫歯」も、健康な歯を失う原因として広く知られています(歯を失う原因の4割が歯周病、3割が虫歯であるといわれている)。どちらも歯の健康に大きな問題となりますが、その違いについて再確認しておきましょう。
「歯周病」の原因菌は、歯と歯茎の境目から出る「血清タンパク質」を主な栄養源としています。これにより歯茎の組織が破壊されて炎症を起こし、さらに血清タンパク質を発生させます。これが歯周病の進行のメカニズムです。
「虫歯」の原因菌は、食事により摂取する「糖分」を主な栄養源としています。糖を分解して酸を作り出し、これにより歯を溶かしてしまうのです。一般的に「虫歯=痛い」というイメージがありますが、歯を溶かされるだけでは痛みを感じることは少なく、歯髄と呼ばれる神経部分に虫歯の影響が及ぶと痛みを伴います。
Comments